<2012年9月19日 フォーラム福島にて鑑賞>
とにかくキュートな3人♪
や、最高に面白かったです。
宣伝のポスターを見た時から絶対面白いはずだと思ったけど、予想は的中!特に香川君のかわいらしさったら・・・
広末さん=香苗さんと、香川君=桜井さん実はコンドウ本当は山崎さん、の、二人の不器用な恋の行方もすごく素敵で、思わず応援しちゃうんだけど、結局殺し屋だからどうやったってハッピーエンドになりそうにない・・・なんて悲観的に思っていたら、なに?便利屋?
それにしても、桜井さんの服が似合わない香川君。あのきびしい顔でチェックのシャツをデニムにイン。もちろんシャツのボタンは一番上までしめますw
それでも見ているうちになじんできちゃう不思議。
堺さん=桜井さんが着てた時はそれなりに似合っててかっこよかったんだけどね。
三人の不協和音というか、かみ合っているような、いないような、ハラハラしながらも必ず大丈夫なような気がするのは、三人のキャラクターがそれぞれとても魅力的だから。
香苗さんは結構気に入ったなあ。真面目で、素直で、すこしずれてて。
山崎さんは、桜井でいる時も、コンドウでいる時も、どこかひとつ芯のようなものがあって、あのノートは山崎さんがいついかなる時も山崎さんであるという証左と言うか。
“桜井”として生きている間、前向きにその生活を送っていて気持ちがいいんだけど、それはメソッドではなく“桜井”にとってはリアルなんだけどね。
“桜井”がコンドウに戻ったとき、桜井さんに向かって「この部屋でタバコ吸ったな?」とすごむところは相当怖いんだけど、クッキーの缶の中の大金を全部使っちゃった桜井さんに対して、「俺のクッキー全部食べちゃったのか!」って怒るところは結構好き。そういえば、コンドウの、「食べちゃったのか」とか、「あなたの車置いてきちゃったからな」とか、「ちゃった」っていう言葉遣いが、大人のごつい男なのに、そこだけ妙にかわいらしいというか、コンドウに戻ってものすごい怖い顔してるからよけいにそこのかわいらしさが際立って。
銭湯で、風呂場に気張った顔でバーンと入ってくるシーンも好きだ。そのあとの転倒シーンとのギャップがすごすぎて。
香川君好きだから、どうしても香川君中心に見ちゃうんだけど、堺さん演ずる桜井さんもなかなかどうして、非常に魅力的。
ダメダメで情けなくて、せっかく(?)コンドウという妙に金まわりのいい人間になり代わりかけたのに、やっぱりダメダメで情けない桜井さんのままで。でも綾子を救うためにあきらめない実は強い気持ちを持ってる男で。でもでも、後でコンドウに罵倒されたように、さわりだけで満足しちゃう、努力のかけらもない人間。メソッドも、最後の“コンドウ”になりきったところで詰めが甘く、バレバレ。工藤を前に一世一代の演技をしてるんだけど、その後ろで山崎さんが、あちゃー、みたいな顔してるのね。こりゃだめだ、って感じ?
桜井さんが、コンドウの部屋を瞬く間にゴチャゴチャに汚していく、その様も見事だね。普通、他人の、あれだけきれいにしてる部屋や車を、あんな風にひどい扱いはできないと思うんだけど、頭を打って意識不明になっているの人間の鍵を自分の鍵と取り換えちゃうあたり、まともな感覚の持ち主ではないんだろうなあとは思いますw
ラストで桜井さん、隣の部屋の女の子が恋に落ちてたけど。なんだかヒモになりそうな、というか、ヒモになる以外の将来が見当たらない気配がぷんぷんです。結局、桜井さんは何かに誰かに依存しないと生きていけない人なんだろうけど、その生きざまはいっそすがすがしいです。
クライスラーで、香苗さんのことを車まで送って、別れる時の山崎さんの淋しそうな笑顔。香川君はこういう演技が絶妙にうまいよね。目の動きがいいというか、目の表情で魅せてくれるというか。結局、“桜井”でいた時が山崎さんの本質なのかもしれないけど。“桜井”のときのあのチャーミングさは、記憶がないことへの不安と相まって、多少子どもっぽさのある素直な感情が表に出ていたと考えれば、実はコンドウらしさも桜井らしさも山崎さんがもともと持っていた本質じゃないのかしら。コンドウのときには眉間にしわ寄せて、ものっすごい気張っていたのに、記憶を失って“桜井”として生きている時のあの無邪気な笑顔に、香苗さんは(観客も)キューンとくるんだろうけど、それは“桜井”の中の深い部分に山崎さんがいて、まだ目覚めてない状態だから、無防備な笑顔を見せられるんだろうと。ふとしたときに無意識に出る山崎さんの大人の男の本質、そのかわいさがまた魅力的にみせてるんだと。
劇場前で香苗さんと待ち合わせをしていた“桜井”の、手を振る無防備な笑顔はもうかわいっくてたまらないっす。ちょっと首を傾げ気味に手をぶんぶん振ったりして。
香苗さんにプロポーズされた時の、妙に厳しい顔も好きです。
あんまり時間軸みたいなこと考えてみてなかったんだけど、“桜井”が病院からアパート(貧困の象徴のような、絶望的にボロな)に戻った(?)のが夕方?そのあと一人になって何かを考えながら、無意識に片付け始めたのが19時40分あたりと思われ、その翌朝は7時にいずみの駅に間に合うように出てるわけで、その間であのめちゃくちゃだった部屋を相当きれいにしてるんだよね。どういう便利屋さんだったのか、それだけでもわかる。
香苗さんの人間性を示すシーンとしてすごく重要だったと思うのは、合コンのシーン。合コン相手のチャラい男(ヨーロッパ企画!の中川晴樹!!)が、金もねえ若いのが愛してるとか、恥ずかしいと思わない?なんてことを香苗に振ったらば、香苗は生真面目に、「思いません」
ここがほんとにいいんですよ。
香苗さんの本質ってここに表れてるんじゃないかなあって。
絶対に人のことをバカにしたりしない、真面目でまっすぐで、一生懸命で、たとえて言うならば、桜井さんみたいな人とはこんなことがなければ一生関わり合わなかったろう人生。香苗さんみたいな人、大好きです。友達になりたい。(私は桜井さん側の人間ですので、無理かもw)
好きなシーン
・香苗さん、私結婚します、相手は決まっていません。に、思わず固まる編集部のみなさん
・銭湯のおばちゃんをひと睨みするコンドウ
・風呂場に気張って入っていくコンドウの手に握られてるのはビオレU
・写真まだあるよとゴミ袋あさるリカさん
・香苗さんの車に乗せてもらった“桜井”が自己紹介で語った自分の年齢に自ら疑問を呈する様
・まるで死地に向かうようにアパートに向かう“桜井”
・役者である可能性を示され、鏡に映る自分の顔をしげしげ見つめる“桜井”(この顔で役者?みたいな感じかしら?)
・エキストラからの帰り、もう役になりきっちゃって強面の“桜井”
・自分の部屋なのに、すっかりきれいになっててどうも居心地の悪い桜井さん
・私の知り合いになっていただけませんか もうなってますよ
・チンピラ役を監督にほめられ、思わず笑みが浮かぶ“桜井”
・ひとんちでガウン着てコーヒー入れてくつろいじゃってる桜井さん
・マンションに逃げ帰った桜井さんを待ち受けるコンドウの三白眼
・俺が助けてやる そのかわりお前の人生このまま俺がもらうぞ
・コンドウから演技指導を受け、瀕死でコンドウに這い上がる桜井さんとそれを罵倒するコンドウ
・あなたとならどんな男だって結婚したいと思うから 大丈夫です
(それを言われた時の香苗さんの何とも言えない表情も好き)
・香苗さんを車の場所に送ったあと、気弱そうな笑顔を浮かべ、ちょっと手をあげて香苗さんに別れを告げ、車を出す山崎さん
・あんた、俺の人生もらうって言ってたよな
ああ
それはあの女の人のためじゃなかったのか
そうかもな
俺のこと笑えんのか
・・・じゃあな
・ほんとうに岩城社長に惚れてると思っていた綾子さんが、あんなハゲどうでもいいと吐き捨てた時に見せた山崎さんの驚愕の表情
・好きなもの 水嶋香苗(何重にもマルでかこんで)
なんだか3人のその後が気になる映画でした。
幸せになってほしいな、と、映画の話なのに、ほんとに願わずにいられない、キュートな3人。
そういえば、香川君と広末さんの共演、世にも奇妙な物語の「燔祭」を思い出しました。久々に観返してみて、あー、このときも二人がかわいくって、応援したくなったんだよなーって。香川君の手が意外におっきくて、(いや、広末さんの手が小さいのかもだけど)広末さんの両手を、香川君が片手で握るシーン。なんかキュンキュンしました。悲しい物語だったけど。
2012年公開
監督・脚本 内田けんじ
出演 堺雅人 香川照之 広末涼子